Yagira Yuya 柳樂優彌

Monday, August 15

インタビュー<日曜日のヒーロー>

第473回 柳楽優弥
2005.07.17付紙面より


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写真=昨年のカンヌ受賞時から「眼の強い子だなあ」と思っていました。取材を楽しみにしていたら、そのまっすぐな瞳 に1発KO。千両眼とでも言うのでしょうか。あと20歳若かったら…。同い年の子どもがいてもおかしくないのに、そんな夢想を描いていると「その人の目を 見れば考えていることが分かる」という言葉が聞こえてきて、無心にシャッターを切り始めたのでした。いい役者になって下さい。「お姉さん」も応援していま す

(撮影・浅見桂子)

「世界一」はスタート地点

 サッカーが大好きな普通の高校1年生。世界の頂点に立った男優。柳楽(やぎら)優弥が、2人の自分に戸惑いながらもしっかりとした足取りで大人への階段 を上っている。14歳、デビュー作でカンヌ国際映画祭の男優賞を獲得したときは「巻き込まれちゃってる」とも感じたが、2作目を撮りながら役者としてやっ ていく決意も固まってきたという。「ぶっちゃけ」を連発しながら、15歳の自分を語った。


ありえない

 取材場所の都内ホテルの一室にサッカーボールを持って行った。部屋に入ってきた柳楽は、真っ先にテーブルの上のボー ルに目を向けると「おーっ! ボール触るの、久しぶりです。感触いいですね」。中学ではサッカー部に所属していたが、仕事が忙しくなって休部している。リ フティングをリクエストすると「いいですよ」と気軽に十数回。自分でも「しゃべるのが苦手」というシャイな性格で知られているが、こちらの心配は杞憂(き ゆう)だった。新作映画「星になった少年」の撮影でタイに2カ月滞在した時も、現地スタッフとサッカーやセパタクローでコミュニケーションをとったとい う。そしてカンヌ受賞後を語り始めた。

 「今までの人生の中で、タイ(での撮影)ほどありえないことはなかった。行く前はそんな大変じゃないだろうって思っ てた。2カ月できんだろ、って。でも行って気付いた。オレってそういう人なんですけど(笑い)。行ってみてショックだらけ。まず、空港に着いて暑さに ショックで。次に食べ物にもショックで。1~2週間だったら、遊びに行くって感じじゃないですか。慣れればいいとこなんですけど、慣れるまでが大変なんで すよ」。

 それでも、俳優としてステップアップになることは分かっていた。

 「オレ心配性です。でもタイで撮影って、いいことじゃないですか。そこまでありえない話に飛び越えちゃうと心配じゃ なくなるんです。心配しなくなるんです。あ、ちょっと訂正。『ありえないので、考える力がなかった、想像がわかない』のかな。想像をわかせたくなかったの かも。大変だって分かってたから、今から大変だって思ってもしょうがないって。山のてっぺんにいる時『もうこれ以上歩けない』とかそんなバカなこと言って たら降りられないでしょう。やらなきゃいけないって決めていたので。だから、それについて深刻に考えなかった」。


ビミョー

 1年前はこう思っていた。「役者一本ってノリじゃないけど、やめらんないなあ」。想像してみよう。友達と中学のグラ ウンドでボールを蹴っていて、ふと気付くと、世界の幾万もの星々でできた山のてっぺんに1人立たされていた。しかも「史上最年少」「日本人初」という冠を かぶっている。「演技に年齢は関係ない。彼の顔が頭から離れなかった」。審査委員長だったクェンティン・タランティーノ監督は選考理由をそう説明したが、 それは世界で誰も経験したことのないアメ=栄誉であると同時に、ムチ=試練でもあったはずだ。当然の戸惑いから、1歩踏み出せたのも、今回の「ありえな い」状況があったからだというわけだ。

 「タイで撮影してる時に思ったんです。『甘ったれたこと言ってたらできないぞ、ちゃんと芝居に集中しなきゃ』って。それでどんどん楽しくなってきた。役者をやっていこうって」。

 俳優という山をもう1度すそ野から登っていく決意のようなものが芽生えてきたようだ。大人ばかりに囲まれている仕事へのスタンスも明快に話す。

 「映画の人たちって基本的に、語る人が多いじゃないですか。オレは言いたいこともちゃんと言うし、語ってるのも聞き ます。自分の思っている意見と合っていれば真剣に聞きます。そうじゃなかったら『そうですね…』って(笑い)。語ってることも、キツイと思うんじゃなく て、聞かなきゃいけないこともあるんです。重要な言葉を聞き流してしまうこともあるんだけど」。

 自分の性格を聞くと「オレって、終わったら全部楽しいって思うタイプ。やってる時は楽しくなかったのかもしれないけ ど、覚えてないんです」と分析してみせたが、それは負けず嫌いの裏返しの言葉のようだ。自分で事務所に履歴書を送って入った世界。決して弱音など言うまい という覚悟がすけてみえる。

 「一件落着するまで1人で考え抜くんですよ。すっげー、考えるんです。ちっちゃいことはどうでもいいんですけど、考えなきゃいけないことはずっと考えてる。考え抜いて、一件落着したら、ハイ終わり! みたいな感じなんですけど」。

 --相談はしないの

 「自分じゃ考えられないくらいになったら相談します、家族に。おじいちゃんとかに『どうしたらいいの』って。やる気 になるような言葉をくれるんです。いや『相談』っていうビミョーなノリじゃないですけど、話してる途中で『どうなの』みたいな。友達にも『頑張れよ』って 言われてやる気出たこともあった。いろいろ感じてくれたのかもしんない」。

 実際にタイから友達にした電話は「大変」でも「つらい」でもなく「今、学校どうなってんの」だったという。

 「普段は普段。しゃべりまくりだし、クールではないんです(笑い)。仕事とか映画の話はあんまりしない。やっぱり女の子の話とか…。学校行ってる時は仕事のこと考えないようにしてた。仕事場で話してるより、そりゃ、学校で話してる方がおもしろいです」。

 初めてかいま見せた高校生の一面。世界の高みに立った俳優と15歳の少年が、無理なくシンクロしてくる。柳楽が1年がかりで折り合いをつけてきたものが、伝わってきた。


ぶっちゃけ

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 今後についても、大人が思う以上に、現実的に地に足をつけた考え方をしている。

 「楽しんでやっていければいいんです。大変なこともあると思うんですけど。多分、楽しいことばかりじゃない。いろい ろな大変なことがあると思うんですよ、絶対あるでしょう? 他の人から見たら『そんなの大変じゃないよ』って思われるかもしれないけど、きっとあるんで す。だから、基本は普段の生活を大事にしたいし、今もしてます。それで、その時にしかできない役をやってみたい。今なら普通の高校生の役とか。20歳では できないけど、15歳ならできる役。そういうのやりたいんですよ」。

  ◆  ◆  ◆

 こちらが少年ではなく、俳優から話を聞いている気持ちになった時、タランティーノ監督が忘れられなかった、あの目がフッとはにかんだ。

 「スクリーンを通して見られるのはうれしいんだけど、素の部分を見られるのが苦手です。ぶっちゃけ、まだ取材ではうまくしゃべれない。しゃべれたら楽しいんだけど…」。

 --今、結構しゃべってますよ

 「え、そうですか。ぶっちゃけちゃってるから、おもしろくなってきました(笑い)」。

 プレゼントしたサッカーボールをドリブルしながら、部屋を出て行った。口ほどにものを言う、たぐいまれな目を持って いるけれど、もっともっと話を聞きたいし、何げないしぐさでも見ていたい-。カンヌの審査員のハートをわしづかみにしたものの正体が、分かったような気が した。


演技以前に圧倒的存在感

 「星になった少年 Shining Boy&Little Randy」の河毛俊作監督 演 技以前に、存在感が圧倒的にあるんです。カメラを通して見たとき、それを感じました。子役って意外と技術を持っているものなんですが、訴えかける存在感を 持っている子役はめったにいない。その存在感を保っていくためには、いい監督、いい作品に出会い続けるしかないんでしょうね。その意味で責任を感じてます し、これから出会う監督たちも感じるんでしょう。撮影中は「通販でバナナクッションを買った」とか「(ヒップホップグループの)ドラゴン・アッシュが好 き」なんて話をしましたよ。結構しゃべるんですよ。


 ◆柳楽優弥(やぎら・ゆうや) 本名同じ。1990年(平成2年)3月26日、東京都生まれ。現在都 内の高校1年生。02年に事務所に応募して芸能界入り。初めて演技した映画「誰も知らない」で04年カンヌ国際映画祭男優賞受賞。同年、米誌タイムの「ア ジアの20人」にも選ばれた。身長は02年「誰も-」のオーディション時は150センチ、04年の男優賞受賞時は163センチ、現在は167センチ。足の サイズ27センチ。血液型A。


(取材・小林千穂)





取材・文・写真:FLiXムービーサイト 取材協力:タイ国際航空

い ままで、あまり長いインタビューを受けてこなかった柳楽優弥。カンヌで注目をあびたときも、短いコメントのみ で、その素顔はあまり知られていなかった。多くを語らなくともその目の力は彼のすべてを語っていた。しかし、新作『星になった少年 Shining Boy & Little Randy』に出演し高校生に成長した彼が本作の大部分を撮影したタイで、映画やプライベート、そして将来のことまで話を聞かせてくれた。

Q:撮影でタイに滞在している間、食事はどうでしたか?
タ イの辛い食べ物って本当に辛いじゃないですか。トムヤムクンを初めて食べたとき、まじめにヤバかったんです。いくら水を飲んでも辛くて。後で聞いたら水を 飲むほうが逆効果だっていうことが分かって(笑)。食事は観光客がよく行くようなレストランなどに行ってました。あとはおなかがすいたら部屋でカップ焼き そばを食べていました。それを知ってみんな、カップ焼きそばをおみやげに持ってきてくれるようになったんです。タイの食べ物では卵を使った料理がおいし かったです。
Q:撮り始める前にプレッシャーを感じましたか?
演技は別として、象に乗るのは余裕で出来ると思っていたんです。楽に考えていました。でも、実際はそうじゃないってことが分かって……。日本で3週間、タイで2週間、みっちり訓練を受けましたがかなり大変でした。
Q:『誰も知らない』では台本がなかったそうですが、今回は台本がありましたね。台本を読んで役づくりのプランは練りましたか?
自分はエンジンがかかるのが遅いんです。最初から役になりきって、いろいろ考えなくてはだめだと思うんですが、撮影をしてくうちにだんだん哲夢さんになっていけたという感じでした。

Q:撮影していたときから、いままで身長が伸びたそうですが……。
自分ではすごく伸びた気がしていたんですよ。でも、学校の身体測定で全然伸びていなくて……。その結果は信じていないんです。もうちょっと高いはずです。絶対に(笑)。
Q:台本を読んで難しかったところはどこのシーンですか。
滝 に落ちそうになるシーンは、ありえない! と思っていました。だけど、やってみると意外に楽しかったんです。おれ、嫌なこととかすぐ忘れちゃうんですよ。 それが悩みだったりもするんですが……。悩みじゃないか(笑)。嫌なことも後で思うと、いい思い出になっているんですよ。水もたくさんかけられて、そのと きは「え?」と思ったんですけど、いま思うと楽しい思い出です。
Q:役になっているときこれはまだ柳楽優弥だなって思うときはありますか?
自分のままで演じていたら、象のことをこんなに好きになれなかったと思います。だけど、哲夢さんの役に入れたから象が好きになれたんだと思います。勘違いかもしれないけど、哲夢さんの心の中に入れたと思ったから象が言うことを聞いてくれたのかもしれないって思っています。



Q:哲夢さんは15歳のとき自分の生きる道を決めていましたが自分と重なるところはありますか?
哲夢さんは象使いの道をめざしていましたが、おれは役者として将来もやっていきたいと思っています。通訳さんが手相を見てくれて、役者が天職だって言ってくれたんですよ。
Q:象を川で洗うシーンがありましたけど、あれは大変そうに見えましたが……。
大変でした。タイで水浴びの訓練をしたとき溺れたんですよ。やってみろっていきなり言われて、余裕だと思っていたら象がわざと体を揺らしたので川に落ちてしまって、服が泥水を吸っちゃってすごく重くなって動きがとれなかったんです。
Q:自分で観て泣けたシーンはありますか。
常盤さんと蒼井さんが2人で哲夢さんについて語るシーンはグッときました。「お母さんの夢を追いかけた」ってところがカッコイイなと思いました。
Q:原付バイクは運転しましたか?
ひっぱってもらいました。まだ免許は持ってないので。でもバイクより車の免許を早く取りたいです。車が大好きなんです。

Q:好きな教科は?
5 教科の中では英語が好きです。成績は別として(笑)。洋楽が好きでよく聞きます。最近は邦楽を聴くようになっていまはそっちがいいかなって……。バンプオ ブチキンとか最高です。あとB'zとドラゴンアッシュも大好きです! 英語と日本語がすごく混じっていてあのノリがカッコイイんですよ。カラオケに行った ら歌ったりします。かみますけど(笑)。
Q:哲夢さんって学校の友達からちょっと外れていてちょっとキュンとなってしまったんですが柳楽くんは学校では友達とは仲良しですか?
中 学生のときは友達とよくカラオケに行ったりしていました。カラオケは仲良くなれるんですよ。でも哲夢さんはいじめられていたとかじゃなくて、おれが演じて いたのは強い哲夢さんなんです。いじめられて、かわいそうっていう感じではなくて、自分は自分なんだというつもりでやっていました。
Q:柳楽くんはこういう仕事をしているので学校の友達と話をしていても世界が違うと思うことはありますか?
それはまったく思わないです。学校は学校だし、仕事は仕事です。友達と話をしているときが一番楽しいです。
Q:押尾学さんとは仲良しなんですか?
はい、仲良くしてもらっています。映画の撮影中にはタイから電話しました。押尾さんも中国に撮影で行っていたときに電話をくれたんです。セリフが多いシーンが控えていて気が重かったりしたんですが、ヤル気が出ました。
Q:セリフはどう覚えるんですか?
普段の自分だったらどう言うかな? と考えて覚えます。あとは、前後の話の流れを理解しておくことです。そのシーンのセリフだけ覚えようとすると思いだせないことがあったりするので。
Q:『星になった少年』で特に見てほしいところはありますか?
哲夢さんの優しさを見て、感じてもらえたらうれしいです。




『星になった少年 Shining Boy & Little Randy』は7月16日より全国東宝系にて公開。

Tuesday, August 9

Hoshi ni Natta Shounen (The Boy who became a Star), Yagira Yuuya and Tokiwa Takako
Yagira Yuuya's new movie, Hoshi no Natta Shounen will be shown from 16 Jul onwards and there will be a promotional campaign around the country beginning from 6 Jun where he will appear with the female elephant Randy in 10 venues. Tokiwa Takako acts as his mother in this movie. Yagira went to Thailand to learn how to be an elephant trainer in summer 04 in order to play this role as a youth who aspires to be an elephant trainer.

Yagira Yuuya made a special appearance for the movie at Shibuya's Cine Front where part of the proceeds from the Chibizou Randy Donation Drive were donated to Japan Unicef for the tsunami victims. The fund was collected from 20 yen per ticket sold for this movie. Since ticket sales exceeded 1 million visits, Yagira represented the movie company to present the sum of 20 million yen to Unicef's ambassador.


柳楽優弥100万人突破記念舞台あいさつ

 俳優柳楽優弥(15)が8日、都内で映画「星になった少年」の100万人突破記念舞台あいさつに出席。1人につき20円が募金されるため、日本ユニセフ協会大使のアグネス・チャンに2000万円を手渡した。

[2005/8/9/00:23 Nikkansports


柳楽優弥、スマトラ沖地震被害者に2000万円寄付

柳楽優弥 俳優、柳楽優弥(15)が8日、東京・渋谷区のシネフロントで主演映画「星になった少年」(河毛俊作監督)の特別舞台あいさつを行い、スマトラ沖地震被災者のために同映画で集めた「ちび象ランディ募金」の一部を日本ユニセフ協会に贈呈した。

 同映画では、チケット料から1人あたり20円を同被災者のための寄付金として集めてきた。この日、観客動員数100万人突破を記念して、主演の柳 楽が代表して2000万円を日本ユニセフ協会大使のアグネス・チャン(49)に贈呈。アグネスは「感謝の気持ちでいっぱい。被災地の子供たちのために使い たい」と感激していた。

写真:アグネス・チャン(右)に寄付金を贈呈した柳楽優弥。映画に登場するチンパンジーのスマイル君も応援に駆けつけた=東京・渋谷区

[2005/8/9 Sanpso ]


柳楽優弥がタイ支援へ募金

 俳優・柳楽優弥(15)が8日、主演映画「星になった少年」(7月16日)の観客動員100万人突破を記念し、都内で舞台あいさつした。共演した チンパンジー「スマイル君」と登場し「まだ夏休みが始まったばかり。(今後も)家族と見てください」と話した。同映画はスマトラ沖大地震の被災地でロケ地 のタイを支援する「ちび象ランディ募金」を設立。柳楽から日本ユニセフ協会大使を務める歌手のアグネス・チャンへ募金贈呈も行われた。

[2005/8/9 Daily Sports Online ]



 
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Shining on Yuuya