柳楽優弥 ゾウ乗りこなした
主演作「星になった少年」クランク・イン
今年のカンヌ国際映画祭で、史上最年少で最優秀男優賞を受賞した俳優・柳楽(やぎら)優弥(14)の最新主演作「星になった少年 Little Randy and Shining Boy」(来夏公開)が、タイ・チェンマイでクランクインした。50頭のゾウを従えて草原をさっそうと練り歩いた柳 楽は、特訓の成果にも「(ゾウの扱いを)全部できるようにしたい」と本物のゾウ使いになれるぐらいまで腕を磨くつもり。演技だけでなく、ゾウ使い、タイ語 と3つの難関にも意欲的に挑んでいる。
タイ第2の都市チェンマイ市街から北へ約60キロにあるアマリン・ゾウキャンプ場。人間とゾウ、そして親と子の愛を壮大なスケールで描く映画の撮影は、50頭のゾウを周辺3か所のゾウ園から集めてスタートした。
本物のゾウ使いにまじった柳楽が、掛け声に合わせてゆっくりとゾウを歩かせる。元の位置まで戻し、もう一度。上半身裸になった柳楽の肌がちょっぴり白いことでしか見分けられないほど、全く違和感なく、堂々と乗りこなしてみせた。
「星になった―」は日本にゾウの楽園を造ることを夢見て単身タイに渡り、ゾウ使いの道を歩み始めながら、20歳の若さで交通事故で急逝した坂本哲夢(て つむ)さんの生涯を描いた実話物語。母・小百合さんの著書「ちび象ランディと星になった少年」(文春ネスコ刊)が原作だ。今春、映画化の話が正式に持ち上 がり、キャスト選考中に彗(すい)星のごとく現れたのが柳楽で、運命のように主役が決まった。
8月からゾウ使いの特訓を開始。小百合さ んが園長を務める千葉・市原市の「市原ぞうの国」に1週間通った後、タイに渡り「ゾウ訓練センター」で2週間の コースを受講。卒業証書を受け取り、帰国後はタイ語を勉強しながら、再び市原でゾウと触れ合った。今回の撮影前にもタイに先乗りして1週間練習し、ロンド ンから再びタイに戻る強行軍。
その成果か「最初は怖かった」と大きな声で指示を出せずに苦労したが、今では「仲良くできてます」と、ゾウを前後させたり寝かせたりと巧みに操れるようになった。“カンヌ受賞俳優”と見られるプレッシャーも「ないです」ときっぱり言い切る。
今月中旬に現地で行われる「ゾウ祭り」の撮影にはさらに多い200頭ものゾウが集まるという。フジテレビでドラマ「抱きしめたい!」「ギフト」などの演 出を手がけ、映画は初メガホンとなる河毛俊作監督(52)は「スケールの大きさだけでなく、今まで見たことのない映画を作りたい」と意気込んでいる。
フランスをはじめとする欧州やタイなどアジア各国のマーケットも視野に入れた話題作。日本人と現地人合わせて約120人のスタッフで、日本でのシーンも一部タイで撮影するという異例のロケは年内いっぱい続けられる。(皆川 泰祐)
◆柳楽 優弥(や ぎら・ゆうや)1990年3月26日、東京生まれ。14歳。02年夏に映画「誰も知らない」のオーディションに合格し、俳優デビュー。テレビ朝日系「電池 が切れるまで」では高野大地役を演じた。「誰も―」の演技で、今年5月の第57回カンヌ国際映画祭で史上最年少、日本人として初の最優秀男優賞に輝いた。
[2004/11/09 yomiuri ]
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