Yagira Yuya 柳樂優彌

Wednesday, February 2

ブルーリボン賞が決定-宮沢りえが主演女優賞

宮沢りえ  在京スポーツ紙7紙の映画記者が選ぶ「第47回ブルーリボン賞」各賞が1日、決定した。主演男優賞には寺尾聰(57)、主演女優賞には宮沢りえ(31) と、世代は違えど映画界でノリにノっている2人が受賞。初受賞の寺尾は、偉大な2人の映画人、黒澤明監督と石原裕次郎さん(ともに故人)に感謝の意を示 し、りえは「小さな作品だけに、とてもうれしい」と笑顔を弾けさせた。作品賞には「誰も知らない」(是枝裕和監督)が選ばれた。〔写真:「表現することが好き、と自覚してます」。宮沢りえの女優としての輝きは増すばかりだ=東京・目黒区=撮影・浅野直哉

 「『たそがれ』の時もうれしかったけど、気分が違いますね」。一昨年の「たそがれ清兵衛」で、ブルーリボン賞を含む各映画賞の助演女優賞を独占したことがまだ記憶に新しい中で、今度は主演女優賞に輝いた。

 もう受賞慣れしたでしょ、とイジワルな質問をぶつけても「そんなことないですよぉ~」と軽くかわす。充実感からくる余裕がうかがえる。

第47回ブルーリボン賞の受賞者と作品
受賞者・作品
作 品 賞
「誰も知らない」(是枝裕和監督)
監 督 賞
是枝裕和監督「誰も知らない」
主演男優賞
寺尾聰「半落ち」
主演女優賞
宮沢りえ「父と暮せば」
助演男優賞
「血と骨」「この世の外へ クラブ進駐軍」
助演女優賞
長澤まさみ「世界の中心で、愛をさけぶ
「深呼吸の必要」
新人賞
土屋アンナ「下妻物語」「茶の味」
森山未來「世界の中心で、愛をさけぶ」
外国映画賞
「ミスティック・リバー」(ワーナー配給)

 「父と暮せば」は、確かに単館系の小さな作品。「でもスタッフの手作り感があって、アツい現場だった。この作品が誇り」と胸を張る。

 原爆から3年後の広島で、被爆体験を深い心の傷として抱える女性の役。約100分の本編中、ほとんど出ずっぱりで「セリフの量が過去に経験ないほど多く て、不安だった」が、「壁が大きくないと、良い作品にはならない。簡単に登れる壁なら意味がない」というチャレンジ精神が、りえの女優魂をかき立て、壁を 乗り越えたようだ。

 「スクリーンの上でビックリしてもらえるような女優になりたいんです」。女優魂は、とどまるところを知らない。

★寺尾聰が主演男優賞「今充実して仕事ができている」

寺尾聰 「石原裕次郎という人と、黒澤明という人」。受賞の喜びを語る中で突然、日本映画界に君臨した2人の“巨人”の名が、自然と口をついた。

 「全くタイプの違う映画人。でもともにこよなく映画を愛している人を、仕事の現場として通り抜けてきたことをとても幸運だったと思う」。

 かつて石原プロに所属し、黒澤監督晩年の作品の常連でもあった寺尾は、今は亡き2人の師に、素直に感謝の念を示した。

 近年の活躍ぶりは、その2人に導かれたかのように目覚ましい。「50代になって俳優の仕事に生きがい、プライド、誇りを見出せるようになった」と実感してきた時期の受賞だっただけに、「すッごくうれしい」。

 「半落ち」では、妻を殺した主人公の刑事役。「我慢して耐えて、抑える役が多くて、またこういうタイプか、苦しいな~と思った」。しかし「説明過多は説明不足より悪い」との黒澤監督の教えが常に胸にある。

 「周りの俳優さんが見事に固めてくれて、今回は歯車がかみ合った」。だから主演男優賞は「皆の代表、という感じ」。“静かなる主役”はサラリと、気負わない。

 受賞の知らせは、名優の誉れ高い亡父、宇野重吉さんの命日(1月9日)だった。「いい報告ができた、と思う」と多くは語らないが、最大の恩師への感謝の念も、胸の内に秘めているようだった。

写真:「俳優人生で、今充実して仕事ができている」と穏やかな笑顔で語る寺尾聰=東京・台場

ブルーリボン賞
 サンケイスポーツをはじめ、在京のスポーツ7紙の映画記者で構成する「東京映画記者会」が主催。ブルーとは青い空の下で取材活動をする記者を象徴し、受賞者にモンブランのペンと青いリボンで結んだ賞状を贈る。

★“セカチュー”森山が新人賞「体を使うことで役にのめり込んだ」

森山未來 森山未來(20)=写真=は“セカチュー”で初恋の人を病で失う高校生の切なさ、悲しみ、苦しみをみずみずしく表現した。

 これが初映画。「(劇中)走る、コケる、泳ぐと体を張った。体を使うことで気持ちが役にのめり込んだ。今までにない経験で、撮影後はすっからかんになった」。

 5歳でダンスを始め、15歳で舞台デビュー。「中学の時は『雨に唄えば』にハマって1カ月くらい毎晩見ていた」という“変り種”。「映画やドラマに出る のは、(舞台出身の自分の出演で)ミュージカルを浸透させるためとか、理屈をコネてたけど、今はおもろいからやってる。それだけでいい」。今後の活躍が楽 しみだ。

★モデル出身の土屋アンナは“ヤンキー怪演”が評価

土屋アンナ 土屋アンナ(20)=写真=はティーン誌の人気モデル出身。女優デビュー作「下妻物語」の“怪演”が評価を受けた。受賞の感想は「いいんですか?頂いちゃって」。

 流行の服を着て微笑むモデルから一転、特攻服で原チャリを飛ばすヤンキー役。「メークして衣装を着ると気持ちが入っていくのはモデルと同じ」。さらに「モデルは顔と洋服だけ。女優は言葉もしぐさもすべてが一人の違う人間になれる。新しい道が開けた」と女優開眼だ。

 昨年11月、長男・澄海(すかい)くんを出産したが、「モデル、女優、歌もやりたい。もっともっと忙しくなるように!」。ママは貪欲だ。

★監督賞に是枝裕和-鋭さピカいち

 「自分の中での充実感と興行の評価は大体ズレるもの。でも今回は思ってもいない形で重なり、すごく幸せな映画だと思っています」。監督賞受賞の報に、是枝裕和監督(42)は冷静に喜びを語った。

 実際に起きた事件をモチーフに、母親に置き去りにされた4人の子供たちが、大人たちに知られることなく自分たちだけで生きようとする姿を丹念に描いた。

 「ひとつの区切りではありますが、いろんなことを試しているプロセスの途中。現実の世の中の複雑さと、イデオロギーとか、世界観というフィルターをかけず向き合う。そういう意味での社会派でありたい、今模索しているんだけど(笑)」。鋭さはピカいちだ。

★「誰も知らない」が作品賞

 作品賞に輝いた是枝監督の「誰も知らない」は昨年、カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品され、長男役の柳楽優弥(14)が日本人初、カンヌ史上最年少で男優賞を受賞。日本では8月に都内単館系で公開。小規模公開ながらヒットとなった。

 脚本を手渡さないやり方で演出したが、「子供が良かった。楽しかったんだと思う。毎日撮影現場に来て、今日はこの4人で何をするんだろう?って期待にあふれてきている感じがこっちにも伝わってきた。その感じがきっとうまく出たんじゃないかな」。

 15年越しの企画を成就させ、「長い出産を終えた感じ」と笑顔。難産の末に生んだ今作は、今後も多くの人に、子供の心を伝えていきそうだ。

★「血と骨」オダギリジョーが助演男優賞

オダギリジョー

 オダギリジョー(28)=写真=は「主演より、サポートする役に興味があるので、うれしい賞」と歓喜の声を上げた。

 出演作ごとに表情を変え、観客を魅了。「アクの強い役は作りがいがあるし、普通の役柄は演じがいがある。とにかく興味があれば、何でもやります」。好奇心と貪欲さがエネルギー源だ。

 「血と骨」では、主演のビートたけしを相手に、迫力満点の乱闘シーンを展開。「けがさせるわけにはいかないし、でも力を抜いた芝居をする気もなかったの で本気でぶつかっていきました」と根性も抜群。同世代の俳優の中でも、個性的なキャリアを積み重ねてきているが、「自分にしか作れないモノを探していきた いです」。

★助演女優も“セカチュー”-長澤まさみ

長澤まさみ 昨年は数多くの映画に出演し、スクリーンで印象的な演技を見せた長澤まさみ(17)=写真。「助演女優賞って、脇で支える大事な人に贈られる賞というイメージで、ピンとこないです。うれしいんですけど、いいんですか? よかったんですか?」ときつねにつままれた表情。

 代表作「世界の中心で-」では、白血病の少女の役。髪の毛をすべて剃り落とし、丸坊主姿で熱演。大英断にも「CGとかかつらという選択肢もあったけど、 嘘っぽくなってしまう。やるのが当然。だって髪の毛切るだけでしょ」とケロリ。この大器なら、女優業では大輪の花を咲かせてくれそうだ。

日本映画ベスト10
 「隠し剣 鬼の爪」▼「69 sixty nine」▼「下妻物語」▼「スウィングガールズ」▼「世界の中心で、愛をさけぶ」▼「誰も知らない」▼「父と暮せば」▼「血と骨」▼「半落ち」▼「笑の大学」

外国映画ベスト10
 「インファナル・アフェア 無間序曲」▼「オールド・ボーイ」▼「グッバイ、レーニン!」▼「殺人の追憶」▼「シービスケット」▼「シルミド」▼「ビッグ・フィッシュ」▼「ミスティック・リバー」▼「モーターサイクル・ダイアリーズ」▼「ラブ・アクチュアリー」

2005/2/2 Sanspo


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