「星になった少年」 (東宝、フジテレビジョンほか)
天性生かす野性
スクリーンから向けられるまなざしに、15歳の俳優の天性の素質を感じた。「誰も知らない」でカンヌ映画祭男優賞を受賞した柳楽(やぎら)優弥 が、映画2作目で挑んだ役は象使いの少年。動物に囲まれて生活し、象の調教を習いにタイに向かう少年の物語は、野性的なマスクの魅力を生かすのに格好の題 材となった。
柳楽が演じるのは、動物プロダクションを運営する夫婦(高橋克実、常盤貴子)の息子、哲夢。子象のランディと心を通わせるために、タイに留学し、象使いの学校で訓練を積む。帰国後、再度、ランディの調教に挑戦する。
実話とはいえ、現実味を欠いた夢物語になりかねない素材だが、そうなっていないのは、やはり、柳楽の存在感によるところが大きい。切れ長の目、褐色の肌は、象の言葉も理解する哲夢の野性を体現している。「誰も知らない」で引き出された魅力が、本作にうまく引き継がれた。
夏休みのファミリー映画として、動物との共生や少年の成長というメッセージも素直に伝わってくる。象の群れをカメラに収めたタイでのロケ撮影も、 日本映画としてはスケールの大きさを感じさせる。そして、象が流す涙。「子供と動物にはかなわない」とやり過ごしてしまってはもったいない手応えがある。 1時間53分。(近藤孝)
――有楽座など。
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