柳楽優弥、天性の俳優
インタビュー
俳優・柳楽優弥(15)が主演する映画「星になった少年」(監督・河毛俊作)が16日、封切られる。「誰も知らな い」(是枝裕和監督)でカンヌ映画祭最優秀男優賞を最年少の14歳で獲得してから14か月。1年前は無口で取材者泣かせだった少年は、自分に納得できる言 葉を懸命に探しながら「演じる」ことについて、ゆっくりと語り始めた。「めちゃめちゃ忙しくなったりして、何かに追いかけられる夢も見ますが、疲れたとは思わない。カンヌで賞を取ったからといって、おれの芝居が変わるわけではないし」
―今作では象使いという難しい役を演じた。演技の上達を感じることは?
「演技っていうのがよく分からないんです。本当に。もちろん、練習とかしますけど。たまたま、おれのやり方でやってるのが演技なんだといわれている。でも、おれのはそんな立派なものじゃないっつうか…」
―志願してこの世界へ。その選択は正解だった?
「うん!楽しいから。撮影に行けば芸能人がいっぱい。有名な人が目の前にいるなんて、普通じゃありえないじゃないですか?」
―柳楽さんも有名な芸能人では?街で声をかけられたりは?
「声かけられれば『ハイ!』って返します。慣れないから超ドキドキですよ。サイン下さい、とか言われても、おれのはないし。普通に(かい書で)名前書いてます」
―俳優の楽しさは。
「おれは台本読むとすごく想像がわきます。演技の技術って全然、分かんない。そんなのがないから、無理に芝居しようとするんじゃなくて、体の中に役を入り込ませるんです」
―魅力の切れ長の目は親譲り?
「おじいちゃん似です。顔立ち?気に入っているって言ったら、なんだかおれがナルシストみたいじゃないですか(笑い)」
―国際的な映画祭で評価を受け英語などの興味は?
「困ったもので英語はできないのに大好きなんです(笑い)。海外の作品にも出てみたいんで、勉強したいと思ってます」
―今回演じた主人公は20歳で早世。もし、自分の人生が20年で終わるとしたら?
「嫌です!相当なショック。ショックすら感じないかも」
―もちろん、この仕事を続けますよね。ほかに将来について考えることは?
「役者やっていきたいです。でも、大人になればもっと具体的に違うやりたいものも出てくるかも。もし、そうなっても頑張って両立させて、この仕事やりますよ」(構成・内野 小百美)
◆取材後記 いまも柳楽はじょう 舌ではない。何度も悔しそうに頭をかくしぐさをした。「普段のおれはけっこう話す人なのに」。それが取材になると気持ちをうまく伝えられないもどかしさ。 でも、懸命に答えようとする姿勢は大きな成長に違いない。自分を見つめる目は驚くほど冷静だ。取材する側にとって、思いを自在に語ってもらえるほどありが たいものはない。本人にも理解できない感覚が働いて演じている。柳楽は「演技が分からない」というが、分からないところがあっていいのではないか。すべて 言葉で語ることができたとたん、ひょっとして今の柳楽優弥らしさが失われるのではないか。(内) |
[2005/7/16 Yomiuri ]
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