「星になった少年」スターになった柳楽クン
今年のカンヌ国際映画祭で史上最年少の男優賞を受賞した俳優、柳楽(やぎら)優弥(14)の最新主演映画「星になった少年」(河毛俊作監督、フジテレビ製 作で来夏公開)がこのほど、タイ北部のチェンマイでクランクインした。ゾウ使いの少年に扮する柳楽は、約3カ月の修業を経て現地入り。50頭のゾウが闊歩 する大迫力と野性味あふれるシーンに度胸満点で臨んだ。
〔写真右:50頭のゾウを従え、ゾウにまたがる柳楽優弥。プロのゾウ使いと見まがうほどの貫禄だ。同下:柳楽とタイ人俳優、シータオに演出プランを説明する河毛俊作監督(右)。壮大な自然とゾウを大胆に撮影し続けた=タイ・チェンマイ県メテン郡〕
「ドォーン(歩け)。ドォーン」。タイ人助監督のかけ声とともに、50頭のゾウが隊列を組んでのっしのっしと歩き出す。日本では決して見られない光景だ。舞い上がる土ぼこりの中から、1頭のゾウにまたがる柳楽が姿を現した。
今年5月のカンヌで一夜にして世界的スターになった少年は、体がひと回り大きくなり、表情も凛々しい。あの力強い眼差しはそのままで、「コー」と呼ばれる指示棒と両足を器用に使い、ゾウの巨体を操った。
ロケ地は、バンコクに次ぐタイ第2の都市、チェンマイの北部にあるアスリン象キャンプ場。ゾウ使いを目指しタイに留学した哲夢(てつむ)がゾウの集団と遭遇するシーンなどが撮影された。
柳楽にとって同作がカンヌ受賞後の初仕事。撮影に備え7月下旬から千葉県内のゾウ園で合宿しゾウに慣れた。「最初は怖かった」というが、8月には同国のラ ンパーンにある王立のタイ象訓練センターで2週間コースを受講。前進、バックや寝転がせなど基本を学び卒業証書をもらった。
その腕前は、タイ人のゾウ使いが「ヤギラ?ナイス、ナイス」と太鼓判を押すほど。それでも本人は「今はゾウと仲良くできてるけど、まだ機嫌の良し悪しは わからない。撮影が終わるまでには全部(の技を)できるようになりたい」と12月いっぱい行うタイロケ中も修業に励むつもりだ。
世界の注目を集める逸材を手にしたフジのらつ腕ディレクター、河毛監督(52)は、「彼はいるだけで存在感がある。運動選手に似て肉体で表現する人。の びのびとやらせたい」と温かい眼差しを注ぐ。劇中の哲夢と同様に思春期を迎えた柳楽は、この作品にかける意気込みを「頑張りますっ!」とキッパリ。短い が、力強さにあふれていた。
★母親役に常盤貴子
動物プロの経営に奔走する哲夢の母親、佐緒里役に女優の常盤貴子(32)=写真= が決まった。フジテレビ映画事業局の小岩井宏悦プロデューサーは「子供を犠牲にしても家族を支える強い母親。原作者の坂本さんは元モデルでもある。たくま しさ、強さ、美しさ、コメディー感のすべてがあてはまるのは常盤さんしかいない」と起用理由を説明。動物プロのシーンがタイで撮影されるため、12月に常 盤も現地入りする。
★大物役者だゾウ
ゾウ50頭は周辺の3つのゾウキャンプ場から集められた。小岩井プロデューサーによると「日本で用意すれば1億円かかるが、こちらは1日 1頭6000バーツ(約1万8000円)」。「安くて助かる」とはいえ、本番などおかまいなしで糞尿をするため、撮影の合間にスタッフがスコップを持って そうじ。30分に1回の休憩(水浴びとおやつ)も重要だ。幸い、トラの映画「トゥー・ブラザーズ」や多種多様の動物が登場する「アレキサンダー」を手がけ た同国大手のマッチング・スタジオのスタッフ60人が参加しており、慣れた様子で作業していた。
■星になった少年動物プロダクションを経営する家庭に育った哲夢(柳楽優弥)は、仕事に忙しい両親(高橋克実、常盤貴子)とも学校の友だちともうまくいかない。だが、ゾ ウと心を通い合わせるという天賦の才に恵まれ、小学校を卒業後、タイのゾウ訓練センターに留学。帰国後は「ゾウの楽園を作る」と夢に向かって進み始める が…。実話の映画化で坂本小百合さん(哲夢さんの母)の「ちび象ランディと星になった少年」(文春ネスコ刊)が原作。
[2004/11/11 Sanspo ]
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