象使い柳楽、タイで新作映画撮影開始
今年5月のカンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞した柳楽(やぎら)優弥(14)の映画第2作「星になった少年 Little Randy and Shining Boy」(来夏公開)がこのほど、タイ北部のチェンマイ郊外でクランクインした。夢半ばで亡くなった 象使いの少年の実話。柳楽は実際にタイで象の訓練学校に通うなど“だれにも負けない”役づくりに取り組み「プレッシャーはない。頑張ります」と自信をみせ た。
カンヌ受賞後初作品とあっていやでも注目されるが、柳楽はプレッシャーをはね返すように、役づくりにのめり込んだ。象使いを目指してタイに留学した坂本哲夢(てつむ)くんの実話の映画化だけに、象に乗りこなす訓練に徹した。
まず、千葉県の、哲夢くんの母親小百合さんが園長の「市原ぞうの国」で、象に慣れるトレーニング。夏休みにはタイ王 立の「タイ象訓練センター」で2週間の訓練。とにかく仲良くなることが第1歩とされるため、一日中、象と過ごした。卒業試験では象と一緒にジャングルに行 き、キャンプし、修了証も取得した。
柳楽の象に対するイメージもすっかり変わった。最初の「怖かった」から「象、おぉ、いいな」。今では「象と仲良くできてます」と言えるまでになった。タイ語で後退させたり、寝かせるなどの指示もできる。柳楽は「芸が全部できるようにしたい」とどん欲だ
努力の成果は、象に乗る姿に表われている。象50頭が連なって行進するシーンでは、気温30度を超える暑さの中、他の象使いに交ざって堂々と撮影をこなした。象の上で指示を待つ間も、モニターに笑いかけるなど余裕すらみせた。
タイでの撮影は年内いっぱい続く。ロケ地は自然豊かな場所で、夜は時間を持て余すほどだが、柳楽は暇つぶしの道具は 一切持ってこなかったという。ゲームも何も? と聞くと「はい」と一言。作品にかける強い気持ちを感じさせた。河毛俊作監督(52)も「体全体で表現でき る役者。この人を見ていたい、という存在感がある」と絶賛した。
口数の少ない柳楽だが、安全祈願で祈ったことを聞かれると「映画がうまくいくように…。って言いなさい、と言われました」と笑わせた。身長は「誰も知らない」のときより2センチ伸びて165センチになったが、役者としてはそれ以上の成長をみせてくれそうだ。【小林千穂】
写真=映画「星になった少年」で象使いを演じる柳楽優弥。タイ・チェンマイ郊外のロケでは堂々と乗りこなした
[2004/11/10/08:22 紙面から]
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